エミリオくんの話

2016.10.29 Saturday

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    こんにちは、奈緒弥です。

    またブログサボりかけてましたねーアブナイアブナイ...

     

    編集の仕方思いだそうと思って久しぶりに『イヴの心臓』を聴いたので

    そのついでに、エミリオくんのお話などしようかな、と。

     

    (どうでもいいですけど改めて聴くとイブの編集粗いですね...)

     

    『イヴの心臓』の主人公、エミリオくん。

    一応フルネームがちゃんとあります。「エミリオ・フォルカー」です。

    作中で登場しなかったのはアドネードの名前に関するミスリードをするためです。

    全キャラクター、作中で呼ばれているのがファーストネームだ、と思ってもらえるようにしたんです。

     

    エミリオは早くに父親と死別し、母親と二人、まるで恋人のように生きてきました。

    この設定は、だいぶ前にお話した、この作品を書くにあたって驚くほど影響を受けた萩尾望都著『トーマの心臓』の、

    エーリクとその母マリエから着想を得ています。

    というかエミリオ自体エーリクに設定を寄せていて、ついでに言うとアドニスはオスカーですね……。オスカーの相手なのにユーリちゃうんかい、みたいなツッコミは置いといて。

    そんな最愛の母を目の前で失い、そんな現実を「知らない、見たくない」と遠ざけたことから視力を失い、更にその時の記憶を無理矢理封じ込めています。

    そんなことが現実にありうるのかどうかは分かりませんが、見たくないと強く念じた結果本当に何も見えなくなってしまったんですね。

    そんな風にいろいろとあって、彼は心がすっかり荒んでしまいましたが、本来は甘えん坊で心根の優しい少年です。

    彼が悪夢を見続けるのは、母を見殺しにしてしまったという罪悪感が、おぼろげながら記憶の中に確かにあるから、です。ずっと自分を責め続けて、でも思いだしたくない、見たくない。そんな気持ちがぶつかりあって、彼は苦しみ続けています。

     

    そんな彼の心を救ったのが、アドニスです。

    ……が、最初はアドニスのことが本当に鬱陶しくて仕方がありませんでした。実際アドニスぐいぐいきますし。

    しかしそんな彼を拒むに拒み切れず、ペースに巻き込まれ、いつしか彼の「母によく似たやさしさ、包容力」に惹かれていきます。

    ただ、それは恋というにはあまりにも幼くて、子どもが母親に縋るような、そういう感情に近いものだったようですが。

    アドニスに対する感情の変移としては、

     

    「鬱陶しい奴」→「なんとなくエヴァを思いだす人」→「とても優しい人」→「傍にいてほしい人」→「エヴァと同じくらい好きな人」

     

    エミリオにとっての1番はあくまでもエヴァで、では、アドニスは結局最後までエヴァを超えられなかったのだろうか、という点ですが

    私は、エミリオが死ぬシーン、あそこでアドニスがエミリオにとって1番大事な存在になったと思っています。

    未だに表に出せていない設定資料集には、

     

    エドヴィンに「このまま自分のものになるか、母親と同じ運命を辿るか」という二択を突きつけられた際、エヴァの願い(「どうかお前だけは生きて」)よりもアドニスとの約束をとったあたりから、恐らく最後の最後でアドニスはエミリオにとってエヴァよりも愛しい存在になったのだと私は考えています。

     

    ……と書いていました。更に続けて、

     

    「アドニスとの約束って一緒に生きることじゃ?」と思われるかもしれませんが、「たとえ死んでしまっても、ずっと覚えていれば一緒に生きていられる」とアドニスがエミリオに教えてくれたので、約束を完全に違えたわけではない、という解釈です。

     

    ……だそうです。

    もちろん、最善なのは二人生きて一緒になることですし、アドニスもそのつもりで言ったんですが。

    「硝子ノ欠片」というシリーズのテーマ「君の記憶の中で生きさせて」を思いっきりぶつけてみた形です。

    まあ物語の最後でアドニスも死んでしまうんで、なんかちょっとテーマとずれてない??? みたいなところはあるんですけど

    硝子シリーズのはじまり、「硝子の心臓」では、主人公が「君の記憶の中で生きさせて」と言われる側でしたが

    今作は新シリーズということもあって、それとは逆にしてみました。

    最期のシーンで、エミリオにこの台詞を言わせようか迷って、ちょっと趣向を凝らして(?)

    「覚えておけよ、僕と君が共に生きる証を」という台詞に改変しました。

    それまではエミリオが「心臓の音を覚えておく」という視点でしたが、最期だけは「心臓の音を覚えておいてもらう」という視点に変化しています。

    とにかくあの最期のシーンをいかに感動的なものにするか、ということに全力をかけて(笑)、エミリオまわりの演出や台詞などは考えました。

     

    エドヴィンの診察については、

     

    エドヴィンの「アプローチ」に関してはなぜか全く気づいていなかったようですが、診察時間はあまり好きではありませんでした。思いだしたくない母が死んだ日のことを嫌でも思いだすことになるので……。

     

    彼は心のどこかでエドヴィンが犯人である、ということを分かっていたのかもしれません。

    けれど気づけなかった、否、気づきたくなかった。

    ドクターのうさん臭さ妙な感じは気にかかるけど、まさか彼がエヴァを殺したわけがない。だってエヴァの交友関係を自分は把握しているし、そのうえでエドヴィンのことなんて知らなかったし……みたいな。

    聴いている側からすると「いやなんで気づかないんだよ?」って感じなんですが(笑)

    (エドヴィン「どうして今まで気づかなかったんだい?」 私「ほんとそれな」)

    エミリオはエヴァが殺害されたとき、エドヴィンの姿を見ています。しかし、無理矢理自分の記憶を封じ込めたうえに、気が動転していたので顔なんて覚えていません。

    覚えていたのは、鼻につく、甘ったるい香水の香りだけでした。

     

    この香水の香り、もっと上手く使えたな、と今更ながら思います。

    元々エヴァが使っていた香水で、エドヴィンが殺害した際にその香水を盗んでずっと使っている……とか……エドヴィンの気持ち悪さが増しそうですね……

     

    ……まあ、とにかく。

    本当に色々と可哀想な目に合い続けた上に、最後死んでしまうし、アドニスと離れ離れになってしまうし

    ……と、とにかく不憫な彼ですが、

     

    彼はちゃんとアドニスと再会します。風鈴鳴りましたし。

    そのあたりの話は、いつか。

    (プロットだけは立てているんです……プロットだけは……)

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