【M3-春2016】硝子ノ欠片-Rebirth- アダムの瞳

2016.04.21 Thursday

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    奈緒弥です。

    ついにM3が今週末に近づいてきましたね。
    ということで、今回M3の新作、「硝子ノ欠片-Rebirth-」についてお話しようかなと思います。

    『硝子ノ欠片-Rebirth-』 企画サイト



    今回は「Adam's Eye」こと「アダムの瞳」についてです。
    思いついたことを書き殴っただけなので、ちょっと読みづらいかもしれません……。

    「アダムの瞳」




    ――人形技師、ハーガルド・ローナンは語る。

    ハーガルドはとある夜、妻にせがまれて昔話をすることになった。
    それはまだ、彼が15歳だった頃の話。
    父の不倫によって心を病んだハーガルドの母は、人形に陶酔するようになる。
    理由は、「人形は"永遠"に美しいから」。

    そんなある日、母がルイス・エルラーという男性を家に連れてくる。
    腕の良い人形技師であるという彼との出会いが、ハーガルドのすべてを変えた……。

    ”一人”の人形は問いかける。
    「ねえ君は、永遠が、あると思う?」


    これが僕の最高傑作。 僕のすべてだ。  嗚呼、愛しているよ、――。


    ***

    「アダムの瞳」は、私が2013年に制作したボイスドラマ『硝子の瞳』のスピンオフ作品です。
    硝子の瞳の主人公、ハリー・フォンスリーの義父であり、彼が不幸になった元凶であるハーガルド・ローナンという男に焦点をあて、シナリオを書きました。

    ハーガルドという男は、「硝子の瞳」を書いた時点では特に大きな設定もなく、ただ「ハリーとルイスを可哀想な目に合わせる変態チックなおじさん」みたいなイメージしかない人でした。
    そしてそれ以上深く彼について描く必要もないと思っていました。
    しかしながら2014年、硝子の瞳、というより「硝子ノ欠片」という作品の集大成のような存在、『硝子細工の明日へ。』を制作しているとき、ふと、「ハーガルドは一体何を考え、どんな過去を生きていたのだろう」と思うようになりました。
    それは彼がずっと、「ルイスの瞳を持っていた」からでした。(詳細は該当ボイスドラマを聴いていただければと思います。)
    彼はただの非情な人間ではない。きっと何か理由があるはず。そう思って、彼の過去を作ることに決めました。

    そうして出来上がったのが、この「アダムの瞳」です。

    アダムの瞳というタイトルはすぐに決まりました。
    理由は、本編を聴いていただければきっと分かってくださると思いますので割愛いたします。
    そして美しいジャケットイラストのもの悲しくて寂しい1シーンも作品の構想を考え始めた2014年の頃からずっと頭にありました。
    1年以上頭の中で考え、温め続けて、今回ようやく形にできました。とても嬉しいです。

    この作品においてとても大事な存在である「ルイス・エルラー」という人形技師がいます。
    彼は非常に哀しくて気味の悪い存在です。
    この作品の核であり、ネタバレしか抱えていない感じの人です。だからあまり多くを語れません……。
    ルイス・エルラーはとにかく純粋で、しかし狂気的な人です。悪意が一切ないからとても性質が悪い。
    彼の存在は作中でかなり浮いていて、良い意味でも悪い意味でも印象深いキャラクターになっているのではないかと思います。
    そしてそんなルイスの造った人形「アベル」。この子もまた、とても哀しい存在です。
    『硝子の瞳』に登場したルイスは「人形であることを拒み、だから人形であることに苦しんだ」のですが
    アベルは「人形であることを望み、しかし同時に人形であることに苦しんだ」人形です。
    今作、というよりも「瞳」において大きな意味を持つのが「人形の心」なわけですが……
    哀れな人形の心が抱える苦しみがハーガルドを大いに悩ませます。

    また、ハーガルド最大の悩みの種が、母親「ドリス」でしょう。
    彼女は夫が自分よりも若くて美しい女性と不倫したことから心を壊し、「永遠に若く美しくあること」に執着しはじめます。
    そしてその「永遠に若く美しくあること」のできる人形に陶酔するようになるのです。
    人形を実の娘のように可愛がり、なんとか心の安定を保つ母を、ハーガルドは見守ることしかできません。
    彼にできるのは、彼女が望む「人形との家族ごっこ」を受け入れることだけでした。

    ハーガルドはとにかく波乱万丈というか、周囲がどんどん狂気的になっていって、ちょっと可哀想です。

    **

    「アダムの瞳」のテーマは「永遠」「記憶」そして、「心」
    作中でアベルはハーガルドに問いかけます。「永遠があると思う」か、と。
    その答えを導きだすのに時間がかかりました。
    ハーガルドならばどう考えるだろうかということよりも、書いている私自身が答えをなかなか出せなかった。
    必死に考えて、脳味噌絞りに絞りってようやっと答えを出しました。そしてハーガルドにも答えを出させました。
    その答えをどう感じていただけるのか、とても楽しみです。
    「記憶」に関してはネタバレになるので割愛します。
    「心」は、上記のとおり「人形の心」のことです。
    彼らに「心」は、あるのだろうか? 彼らの「心」とは一体なんなのだろうか?
    そもそもその「心」は、どうやって生まれたのだろうか?

    ――僕の瞳は硝子だけど、この心だけは造りものではないから。
    人形のルイスは「硝子の瞳」でそう言っていましたが、では、アベルの心は、どうなのでしょう。

    「永遠」と「記憶」、そして「心」。
    この3つのテーマが「ハーガルド」というキャラクターをつくりあげる鍵となるように。
    後付けではありますが、彼の過去をしっかり描いてみました。
    多少の矛盾はあるかもしれませんが、「硝子の瞳」そして「硝子細工の明日へ。」にちゃんと繋がるような構成になったと思います。多分。

    **

    作品そのものに関していうと、
    今回は小説、あるいは朗読劇のような雰囲気を目指して台本を書きました。
    だからハーガルドのモノローグがたくさんあります。浅沼諒空さんのかっこいい語りがたくさん聴けます!!!

    正直舞台などにはあまり詳しくなくて、演出もよく分からないのですが、
    それでもそれなりにかっこよくキマったのではないかな、と……。
    キャスト様方の熱演のおかげで舞台のような臨場感というか、迫力が生まれたような気がいたします。

    また、スピンオフということで、やはり「硝子の瞳」を聴いていたほうが楽しめるのではないかなと思います。
    もちろん聴いていなくても楽しめるようには制作していますので、聴いていなくても、
    あるいはこれを聴いたあとに「硝子の瞳」を聴いても、きっと楽しんでいただけると思います。

    **

    人間」と「人形」。
    永遠ではないもの」と「永遠であるはずのもの」。
    その2つの存在が複雑に絡み合い、そして生み出す「記憶」の物語。
    それが、この作品「アダムの瞳」です。


    また、今作最後のトラックには、
    硝子ノ欠片 という作品の真の終着点であり、
    アダムの瞳 の解答であり、
    イヴの心臓 へ繋げるため、そして更に未来へ運んでいくため
    のお話をこっそり収録いたしました。
    どのキャラクターが登場するのかは……M3当日までのお楽しみということで。


    それでは本日はこのあたりで。
    作品を頒布し終えたら、またどこかで、今度は作品の核心に触れつつ色々お話できたらいいなあと思います。
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